おほけなく うき世の民に おほふかな わが立つ杣に 墨染の袖 ~ Handwerker ASEEDONCLOUD/ HW pressman shirt

空想あるいは実際の職業から生まれ出る、特別な生活着やワークウェアとしての服を提案している、ASEEDONCLOUDの派生ラインHandwerker。

このブランドが、特定の職業のためだけのワークウェアを一から手掛けたらどうなるのでしょう?

そんな興味深い試みが、今季より始まりました。

活版印刷職人用のシャツ、HW Pressman shirtです。

ASEEDONCLOUDのロゴデザインも手掛けているグラフィックデザイナー高田唯氏は、デザイン事務所と同時に活版印刷工房Allright Printingを運営しています。

その高田氏の現場視点ならではの要望を汲み取り、ASEEDONCLOUDならではのフィルターを通すことで、他に見られない服となりました。

まず氏が希望したのが、インクを用いる仕事ゆえ汚れが目立たない黒であること。

このシャツには、ポリエステル/コットンのバティスト(薄手の平織り生地)が採用されています。
強度の高さと、独特な光沢が魅力です。

次に、着脱が容易であること。

これはボタンをスナップ式にすることでクリアしました。

袖や裾がひらひらすると作業の邪魔になる。

ということで袖口や裾はリブ仕様です。

屈む姿勢が多いため、身頃の前面は短く、背面は長くなっています。

それに関連し、作業でピンセットなどを用いるにあたり、たとえば前身頃にポケットがあると屈んだ時に落ちてしまいます。

そこで、道具を入れるポケットは背面、腰に配置されました。

もちろん、手を出し入れしやすいようその位置、形状はきちんと計算されています。

カッターナイフと校正に用いる赤ペンは胸に入れたい。

その要望にもしっかり応えました。

なお、Handwerkerの紙タグは右腰につけられています。

以前ご紹介したパンツに縫いとめられていたものと同じで、洗濯にも耐える素材です。
お好みで、外してもつけたままでも。

と、いかに活版印刷用として練られているかを長々と説明したわけですが、このシチュエーションで着ないといけないなんて決まりはなく、日常生活のなかで気軽なシャツブルゾンとして羽織ったりしても素敵だと思います。

最終的にどう着るかは人それぞれ。
そんなふうに思わせてくれる、懐の深い一枚です。

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茜色の夕日眺めてたら 少し思い出すものがありました ~ KIMURA/ GIZA typewriter wide band collar

甲子園も開幕したことですし、今時期が真夏のピーク(何をもってピークとするかわからないような猛暑ですが)ということでしょうか。

あとは晩夏、そして秋に向かって緩やかに移行していくわけです。

ところで、夏の終わりの夕暮れ空は綺麗ですよね。
得も言われぬ寂寞感に満ち、しんみりした情緒に溢れています。

そんな空の色をどこか想起させるようなシャツが届きました。

当店で初めてKIMURAを披露したのはもう一年ちょっと前のこと、そのときにご紹介した記念すべきモデルの新色となります。

この陰翳豊かな深い色調に目を奪われる前タイプライター生地は、シャツの立体的な構造を引き立てるコシの強さも持ち味です。

最大の特徴はこの2段ボタンのバンドカラー。

2段目の少し大振りのボタンの上半分が襟に埋まる、独特な仕様です。

全部留めるもよし、ボタンを開けたときの胸元もだらしなくならず、品を損ないません。

また、単体の写真だとわかりづらいのですが、細めの袖はジャケットのようにアームホールから角度をつけて下に落ち、着用時のシルエットを一層美しいものにするのみならず、上着を羽織った際に脇がもたつきにくくしています。

晩夏から秋冬、そして春にかけて装いに豊かさをもたらしてくれるシャツです。

KIMURAブランドの人気は高まる一方ですが例によって少量生産ですので、気になる方はどうぞ今のうちに。

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ナイルの賜 ~ niuhans/ Finx Cotton Typewriter Shirt

niuhansの服は総じてキャッチーな意匠がなく、またシルエットも中庸なため、第一印象で伝わりにくい傾向にあります。

服にそれほど関心のない方であれば、ユニクロや無印との区別がつかないかも知れません。

しかし、これもまた総じて言えることですが、一度着てみればその着心地、知的で清潔な気品にはっと息を飲むことでしょう。

このフィンクスコットンを用いたシャツは、まさにそんな魅力を味わえる代表格のひとつと言えます。

世界にその名を轟かせるエジプトのギザコットン。

地中海に臨むナイル川下流の肥沃なデルタ地帯で栽培され、枯れ葉や枯れ枝、未熟な綿が混ざるのを防ぎ、また綿花を傷めないよう、現代に於いても手摘みによって収穫されています。
その後、品質ごとに選別、人の手で丁寧に撹拌されます(この作業はファルファラと呼ばれます)。
エジプト綿の高い品質は、こうした非効率的な作業の積み重ねによって実現しています。

こうして生まれる綿のなかからさらに厳選された特級綿、それがフィンクスです。
絹を思わせる艶、しっとりとした肌触り、そして優れた耐久性を備えています。

このシャツで用いられているのは、そんなフィンクスの糸を用いて浜松の工場でじっくりと織りあげた極上のタイプライター生地です。

紡績の段階でガス焼きを施し毛羽をとることで、よりフィンクスならではの光沢を引き出しています。

一般的にタイプライターはぱりっとした乾いた質感が特徴(niuhansがよく採用しているサウンドクロスも同様ですね)ですが、フィンクスのタイプライターは、しっかりと目が詰まりながらも柔らかく、しなやかです。

そんな生地の魅力を一切毀損することなく、最大限に活かすのが、この禁欲的かつ細部まで気の配られたデザイン。

小振りの襟や

立体的に肩の曲線に沿う背面のスプリットヨーク、

前後の長さに差を設けず緩やかに繋がる裾など、

niuhansらしい寡黙なディテールが、このシャツをより高い次元に引き上げています。

今日のような異常に暑い日を除けば、基本的に一年中使い回しの利くシャツです。

まずは一度お試しを。
上記の如き冗長な言葉がなくとも、体感でご理解いただけることでしょう。

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お盆期間中の営業について

梅雨明けが早すぎて時期の感覚がよくわからなくなっていますが、そうこうしているうち8月になりました。

お盆休みは皆様どんなスケジュールでしょうか。

当店は、今年は特に用事もありませんのでお盆も関係なく平常通り営業致します。

8/15のみ水曜日につき定休日となりますが、それだけです。

皆様のお越しをお待ちしております。


ほら ひとつ ふたつ ひとつ 生まれては ~ KIMURA/ pearl button fly front alternation

すっかり当店のお客様にはお馴染みとなったKIMURA。

先月のイベントもお陰様でご好評いただき、少しずつ、しかし確実にファンの広がりを実感しています。

さて、そんなKIMURAからまた素敵なシャツが届きました。

ハリの強い綿麻混紡生地や小振りの襟も相まって、一見するにすっきりシンプルな印象を与えながら、そこはKIMURA、独創性は決して忘れていません。

何といっても最大の特徴はこの前立てのボタン使い。

上から高瀬貝のパールボタンが並び、その間あいだの三角ステッチ箇所には比翼で通常の貝ボタンが隠されています。

もちろん袖口にもパールボタンが。

実は少し前にもパールボタンを使用した型の異なるシャツが同じくKIMURAより登場していたのですが、ブログに載せる間もなくすぐ巣立ってしまったため、今回はその前にと少し急ぎ気味に紹介させていただきました。

シャツという限定されたフォーマットで、表層的な装飾に依存することなく独自性を発揮し、時間を超えた永続性も兼ね備えた、KIMURAらしさの詰まった一枚です。

気になる方は是非お早めに。

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何もかも まるでなかったように シャツを着る ~ Olde Homesteader

春のORDER BORDERで同時開催したOlde Homesteader新作アンダーシャツ受注会。

お陰様でこちらもたいへん好評でした(ちなみに、上の画像左端で背中を向けている髭の男性がブランドディレクターの福原さんです)。

そのときオーダーいただいた分に加え、多少の店頭在庫がようやく到着しております。

3種類ありますので、順を追って紹介させていただきます。

まずはリブ編みのヘンリーネック。

スウェーデン軍のアンダーシャツで且つて採用されていた生地をOlde Homesteader流に再構築したもので、もちろんオリジナルを遥かに超えたクオリティを誇ります。

伸縮性に優れているのは無論のこと、保温性と通気性のバランスがよく、季節を問わずご着用いただけます。

およそ100年前に廃業したアメリカの洋品店から持ち出されたまま誰の手にも渡ることなく保管されていた肌着のディテールから着想し、前立ては本体と異なる生地を用いています。

このシャツ全体の枯れたような茶色もまた、その肌着に由来しているそうです。

お次は同型のヘンリーネックですが、素材を変えて。

なめらかでもっちりした質感が特徴的なインターロック(両面編み=表裏同じ編み目の生地)で仕立てられています。

最後はインターロックのクルーネック。

きゅっとしまった広めのリブが何ともクラシカルな風貌を引き立てます。
なお、このリブは前述の二型とも同じ仕様となっています。

また、これも全型共通ですが脇にガセットが設けられ、開放的な着心地と高い運動性を生み出しています。

特にこのクルーネックは、男性用の肌着としてのみならず女性がご自身のTシャツとしてお買い求めになるケースが多く、可能性の広がりを感じます。

なお、すべて一点ずつオリジナルの紙箱に収められています。
この特別感…!

どこをとっても肌着としての領分を超え、徹底的に過剰に突き詰められ生み出された、まさに狂気の産物と言っていいでしょう。

すでにOlde Homesteaderのトランクスをお持ちの方ももちろんそうでない方も、是非この優しき異常性をお試しいただきたいところです。

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ヘンリーネック ショートスリーブ スウェディッシュリブ
ヘンリーネック ショートスリーブ インターロック
クルーネック ショートスリーブ インターロック


オー・ハニー ~  HAVERSACK/ 12G ハーフハニカムラグランTシャツ

漸う近づく台風の影響なのか、ちょっとだけ暑さが和らぎ、嵐は勘弁と思いながらも少しほっとしています。

あまりに気温が高すぎると盛夏もの以外を紹介しづらいところがありまして、この晩夏から(あるいは初夏に)活躍するであろうニットTシャツをお披露目するいい機会となりました。

この12ゲージのハーフハニカムを編み立てるのは難易度が高いらしく、ハバーサック側が方々を探し回ってようやくそれが可能な工場を見つけ、商品化にこぎつけたと聞いています。

柔らかくもちっとした肉感、それでいて暑苦しくないほどほどの清涼感が持ち味です。

袖や裾のリブには片畦のラインが入っていて、厭味なく洒落っ気を利かせています。

夏の盛りは、すなわち夏の終わりがそう遠い未来の話ではないことも意味します。
そんな思いに耽ってしまう、センチメンタルな一枚です。

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WORKING MAN ~ Handwerker ASEEDONCLOUD/ HW wide trousers

“Handwerker”(ハンドベーカー)。

ASEEDONCLOUDから派生したこのブランドは、ドイツ語で「職人」を意味するその硬質な響きの名が表す通り、やわらかく牧歌的なメインラインとはまた異なる趣を見せてくれます。

これらは空想あるいは実際の職業から生まれ出る、特別な生活着やワークウエアです。

ワークウェアというものは前提となる明確な目的に基づいて設計されているため、時代を超越した永続的価値を持っています。

とりわけ男性服に於いては現在いわゆるヴィンテージウェアと呼ばれる服の多くがこうした実用品として(ミリタリーウェアなんかもそうですね)作られているのは周知のとおり。

どれも時間の経過によって古臭くなるどころか、却って熟成され、その輝きを増していくものです。

Handwerkerの服は、そうした構造由来デザインゆえの普遍性を備えつつ、「本物」では成し得ない、心を潤すエッセンスがちりばめられています。

この極太ワイドパンツはその一例。

かつて備前地域で学生服用の生地として開発された「備前壱号」で仕立てられています。

備前壱号は、希少なベルギー製の旧式織機を用いて糊を使わずゆっくり織られた、ひじょうに密度が高く、独特の光沢を湛えた綾織生地です。

高密度生地ゆえパンツのワイド感がはっきり出ます。
それでいてお尻部分が大きく見えすぎないよう、腰回りを削りふくらみを抑えたパターンで仕立てられています。

各所のディテールも見逃せません。

腰にはジーンズなどに見られる紙パッチ。

洗濯可能な素材ですので、お好みに合わせ外してもつけっぱなしでも楽しめます。

お尻に設けられた尾錠が、往時のワークパンツを偲ばせます。

ベイカーパンツの前ポケットを彷彿させる、ユニークな形状のヒップポケット。

実際に穿いてここに手を入れてみると、驚かされます。
たいへん入れやすい。これは是非一度直接お確かめいただきたいところですね。

と、上記の如くワークテイスト満載の背面ですが

前から見ると1プリーツの入った上品な顔つきというところに、デザイナーの声高に語られぬ意図を感じます。

日常生活から、何かしらの作業のときまで。
どんなシチュエーションでどう着ようともそれは個々人の自由ですし、しかと応えられるパンツです。

きっとそうして使っていくうちに、いつしかその人だけの一本へと仕上がっていくものなのだと思います。

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